ロボット自動化.com コラム

「ロボット自動化.com」(アイテック株式会社)はロボット導入のご提案を行っているロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)です。お客様の業務効率を最適化するため、業務の分析を行った上で、お客様それぞれに併せた最適なロボット導入をご提案いたします。お客様の業務の成果を軸に自動化、省力-省人化、無人化などを実現しておりますので、どのようなご依頼でも、まずはご相談ください。このページでは、ロボット自動化.comの発信する業界最新情報を含めたコラムについてご紹介します。

協働ロボットによる「ねじ締め自動化」のメリットとよくある失敗要因

協働ロボットによる「ねじ締め自動化」のメリットとよくある失敗要因

製造現場における組立工程において、「ねじ締め」は最も基本的でありながら、品質管理と作業効率の両立が難しい工程の一つです。人手不足が深刻化する中、作業者による「締め忘れ(ポカミス)」の解消や省力化・省人化を進めるために、協働ロボットによる自動化を検討する企業が増えています。
しかし、単純に「ロボットにドライバーを持たせれば自動化できる」と安易に導入を進めると、「ねじが斜めに入る」「頻繁にエラーで止まる(チョコ停)」「タクトタイムが間に合わない」といったトラブルに直面し、失敗に終わるケースも少なくありません。

本記事では、多くの生産ライン自動化を手掛けてきたロボットSIer(システムインテグレータ)であるアイテック株式会社が、協働ロボットによるねじ締め自動化のメリットから、よくある失敗要因とその対策、そしてシステム構築のポイントを実務的な視点で解説します。

協働ロボットによる「ねじ締め自動化」の現状とメリット

協働ロボットを活用したねじ締め自動化とは、人と同じ空間で作業できるロボットアームに、自動ねじ締めユニット(電動ドライバー、ねじ供給機等)を搭載し、組立作業を行うシステムのことです。
従来、産業用ロボットで行っていた大規模な設備とは異なり、省スペースかつ柔軟なライン構築が可能です。

なぜ今、協働ロボットが選ばれるのか
生産技術者や工場長が協働ロボット導入に踏み切る主な理由は、以下の4点に集約されます。
1. 省スペースで導入できる(安全柵が不要)
従来の産業用ロボットは、人が接触すると危険なため、頑丈な「安全柵」で囲う必要がありました。しかし、協働ロボットは、センサーで接触を検知して自動停止するため、一定の条件下で安全柵なしでの設置が可能です。これにより、既存の狭い作業スペースや、人が行き来する通路のすぐ横にも設置でき、レイアウト変更も容易です。
2. 導入・設定が非常に簡単(ティーチングの容易さ)
協働ロボットは、専門的なプログラミング知識がなくても、直感的に動作を教え込むことができます。ロボットの腕を直接手で動かして動作を記憶させる機能を「ダイレクトティーチング」と呼びます。これによって、外部のエンジニアに頼らず、現場の作業員が数時間で設定を完了できることもあります。多品種少量生産で、頻繁に作業内容を変える現場に最適です。
3. 人手不足の解消と労働環境の改善
「きつい・汚い・危険(3K)」な作業や、単純な繰り返し作業をロボットに任せられます。例えば、ねじ締めをはじめ、重量物のパレタイジング(積み上げ)、部品の検査、工作機械への材料投入といった作業が該当します。作業者が、より付加価値の高い創造的な作業や判断が必要な工程に集中できるようになります。また、深夜や休日も稼働させることができ、安定した生産量を確保できます。
4. 低コストでの自動化が可能
協働ロボットは、産業用ロボットに比べてシステム全体の導入コストを抑えられる傾向があります。安全柵の設置費用、大規模な工事費、専門家によるプログラミング費用などを大幅に削減することができます。比較的一体で早期に稼働を開始できるため、投資回収期間(ROI)が短くなる(1〜2年程度)ケースも多いです。

【協働ロボット導入のメリットまとめ】
・省スペースで導入できる(安全柵が不要)
・導入・設定が非常に簡単(ティーチングの容易さ)
・人手不足の解消と労働環境の改善 ・低コストでの自動化が可能

よくある失敗事例|なぜロボット導入後にラインが止まるのか?

一見単純に見えるねじ締め作業ですが、ロボットにとっては非常に繊細な制御が求められます。SIerとしての経験上、導入後に現場が直面する代表的な失敗・トラブル要因を紹介します。
1. タクトタイムの遅延(生産性が上がらない)
最も多いのが「人がやった方が早い」というケースです。人は無意識にねじを拾い、瞬時に穴へ運びますが、ロボットは一つひとつの動作(吸着確認→移動→位置決め→締め付け→完了確認)を順守します。 原因: ロボットの最高速度だけで計算し、通信時間や供給機のサイクルタイム、安全停止からの復帰時間を考慮していない設計ミスが主な要因です。
2. ねじ供給トラブルによる「チョコ停」
ロボット自体は動いていても、ねじ供給機(フィーダー)からねじが出てこない、あるいは重なって出てくる(ジャミング)ことでラインが停止します。 原因: ねじの形状(座金組み込み、タッピング等)と供給機の相性、あるいはエア圧の変動など、周辺機器の選定・調整不足が原因です。
3. 品質不良(斜め締め・ねじ浮き・カムアウト)
ねじが斜めに入ってワークの雌ねじを壊したり、ドライバーのビットがねじ頭から外れる(カムアウト)現象です。 原因:Z軸制御の欠如: ロボットがただ座標に移動するだけで、「押し込む力」や「ねじが進む速度に追従する動作」が制御されていない。 位置ズレ: ワークの寸法公差や設置位置のわずかなズレを吸収できていない。 これらの失敗は、ロボット単体の性能ではなく、「ドライバー」「供給機」「治具」「ロボット」を統合するシステム設計(インテグレーション)の不足から生じます。

失敗しないための対策|SIerが重視する3つの技術ポイント

前述のような失敗を回避し、安定した自動ねじ締めラインを構築するためには、ロボット本体選び以上に「周辺技術」の詰めが重要です。私たちSIerが設計時に必ず重視する3つのポイントを解説します。
1. 適切なドライバー選定とトルク波形管理
安価な電動ドライバーでも「回転して止まる」ことは可能ですが、産業用としては不十分な場合があります。自動化においては、以下の機能を持つ「ロボット対応ナットランナー(高機能電動ドライバー)」の選定を推奨します。 トルク/角度監視: 設定トルクに達したかだけでなく、締付完了までの「回転角度」や「時間」も監視します。これにより、「トルクは出ているが、実はねじが斜めに入って途中で止まっている(斜め締め)」や「ねじが無いのに着座した(空締め)」などの異常を検知できます。 推力制御: ロボットアームの押し付ける力(推力)と、ドライバーの回転を同期させる制御が必要です。これがズレるとねじ山を舐めてしまいます。
2. 「位置決め治具」と「吸着/保持」の設計
ロボットがいかに高精度でも、対象となるワーク(製品)が動いてしまっては正確なねじ締めはできません。 治具(Jig)の重要性: ワークを確実に固定し、ねじ穴の位置を毎回同じ場所に再現するための専用治具を設計します。場合によっては、ラフな位置決めでも対応できるよう、ドライバー側に「フローティング機構(倣い機構)」を持たせ、数ミリのズレを機械的に吸収させる工夫も行います。 吸着ビットの選定: ねじを供給機からピックアップする際、真空吸着を用いるか、マグネットを用いるか、チャック爪を用いるかは、ねじの材質(SUS等は磁石につかない)や形状によって慎重に選定します。
3. 異常発生時のリトライプログラム(例外処理)
「エラーが出たら即停止」では、稼働率は上がりません。人間の作業者が無意識に行っている「リカバリー動作」をロボットにプログラムします。 例えば、「ねじがうまく噛み合わなかった場合、一度逆回転させてセットし直す」「吸着ミスを検知したら、再度フィーダーに取りに行く」といったリトライロジックを実装することで、チョコ停によるライン停止を最小限に抑えます。

ロボット自動化.comが提供する「ねじ締め自動化」の強み

アイテック株式会社は、単にロボットを販売する商社ではなく、お客様の現場課題に合わせてシステム全体を構築するロボットSIer(システムインテグレータ)です。ねじ締め自動化において、当社が選ばれる理由をご紹介します。
ハンド・治具・安全・制御を一貫対応 ねじ締め自動化の成功は、ロボット3割、周辺設備7割と言っても過言ではありません。 当社では、協働ロボットの選定はもちろん、「ねじ供給機(パーツフィーダー)の選定・調整」「ワーク固定治具の設計・製作」「安全センサーの配置」「PLC制御盤の製作」まで、すべて自社で一気通貫に対応します。 窓口が一本化されるため、導入後のトラブル時も「ロボットの問題か?ドライバーの問題か?」といった責任の押し付け合いが発生しません。 複合システムの構築力(ねじ締め+α) 「ねじ締め」単体の工程だけでなく、その前後にある「部品のピック&プレース(搬送)」「画像検査による有無確認」「完成品のパレタイジング」などを組み合わせた複合システムの構築が得意です。 例えば、画像処理システムを搭載し、ねじ穴のわずかな位置ズレを補正してから締結動作を行うといった高度な制御も実装可能です。
導入前の「実機検証(PoC)」でリスク低減 カタログスペックだけで導入を決めるのは危険です。 アイテックでは、お客様のワーク(実物)とねじをお預かりし、社内のデモ機を用いて「実際にタクトタイムが出るか」「指定トルクで締められるか」を検証するテストを実施しています。事前に課題を洗い出すことで、導入後のミスマッチを防ぎます。
ねじ締め工程の自動化・効率化ならアイテックへご相談ください ねじ締めは製造業において最も一般的な作業ですが、それを「自動化」しようとすると、多くの技術的ハードルが存在します。失敗しないためには、ロボットの知識だけでなく、ねじ締めの物理現象や治具設計に精通したパートナーが必要です。 アイテック株式会社では、お客様の現場課題に合わせた最適なロボットシステムをご提案します。